創意工夫
知恵を絞って生まれたものは味わい深い。
きっとそうだと思いたいのは
もしかしたら いつもスッカラカンで
生きている我らだから?
と
スッカラカンが
恨めしいような気持ちにもなる時もある..。
いやいや、振り返って考えてごらんよ。
瞼を閉じて浮かぶのは、
床にはいつくばり
雑巾で絵を描く様にペンキを塗った
あの時のこと。
いつまでも愛おしかった
ニュアンスのある床のこと。
そうでしょう?
と
もう一人の自分が晴れやかに言う。
手を真っ赤にしながら
ピータイルを必死にヘラで剥がした。
埋もれていたのは
この場所で営なまれてきた色の重なりだった。
剥き出たコンクリの床をブラウンやブラック
さらにはオフホワイトのペンキを混ぜながら
マーブリング職人さながら雑巾に移し
濃淡つけながら描いたこと。
もう10年も前だ。
スケルトンの店内にシンと緩やかに流れた
アートな時間は細胞が覚えている。
鎌倉のお店は、人知れず、
私達二人、床が一番好きだったかもしれない。
スッカラカンな我らでも できること
命を吹きこむようなこと
やっぱり それが自分たちらしさなのかい?
そんなことを確信しつつあるクリスマスの朝。