さぁ我ら知恵をしぼるのだ

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NYの旅にて 惚れ惚れなタイルの壁

 

創意工夫
知恵を絞って生まれたものは味わい深い。

きっとそうだと思いたいのは
もしかしたら いつもスッカラカンで
生きている我らだから?

スッカラカンが
恨めしいような気持ちにもなる時もある..。

いやいや、振り返って考えてごらんよ。
瞼を閉じて浮かぶのは、
床にはいつくばり
雑巾で絵を描く様にペンキを塗った
あの時のこと。
いつまでも愛おしかった
ニュアンスのある床のこと。

そうでしょう?

もう一人の自分が晴れやかに言う。

手を真っ赤にしながら
ピータイルを必死にヘラで剥がした。
埋もれていたのは
この場所で営なまれてきた色の重なりだった。

剥き出たコンクリの床をブラウンやブラック
さらにはオフホワイトのペンキを混ぜながら
マーブリング職人さながら雑巾に移し
濃淡つけながら描いたこと。

もう10年も前だ。
スケルトンの店内にシンと緩やかに流れた
アートな時間は細胞が覚えている。

鎌倉のお店は、人知れず、
私達二人、床が一番好きだったかもしれない。

スッカラカンな我らでも できること
命を吹きこむようなこと
やっぱり それが自分たちらしさなのかい?

そんなことを確信しつつあるクリスマスの朝。