父の

今は決して目の前には現れてくれない父の手あかがいっぱいの革のファイル。

あんなにも、もうやんなっちゃうと想っていた
よっぱらった時の父のダメっぷりや、我がむすめよぉーと言って
ベタベタ抱きついてくるところなんかや
そんなことが、今は愛しくて愛しくてたまらない。

父は高卒で、九州からやってきて集団就職をしてから
たったひとつの会社に勤め上げて 67歳でいってしまった。
やっと定年退職をして、これから好きなゴルフや菜園作りや
自由にわっははーと楽しんでいた 頃のことだった。

ヤンは、最後の時に「ちゃんと守るから安心して」と
父に約束をした。

守ること。
それが遠回りであれ、苦しいことであれ
自分にうそをついたり、後ろめたいと想ったりすることは
絶対にしないぞ。 と思ってやってきた。

今まで歩いてきた道のりには きちんとした わけがある。

だから、思いもよらぬことがやってきても
ちゃんと真っ直ぐ向き合ってその先を信じていこう。

父が全てを見てくれている。